今回、私はダメダメ患者の王道をたどり、ようやくMSIという考え方を実感しました。
諸谷先生のZoom越しの評価に即効性がないことに焦り、
痛みを取りたいがためにSNSやAIに頼り、整形外科やペインクリニックも受診しました。
そして、それでも改善しない痛みの原因を知りたくて、私はもう一度MSIに戻りました。
そこで初めて、「先生方は何を見ていたのか」を、自分の身体を通して理解できました。
もちろん、整形外科やペインクリニックを批判するつもりは全くありません。
整形外科では診断名を知ることができました。
ペインクリニックでは強い痛みを和らげてもらえました。
私は今回の腰痛以外でも、整体や鍼治療などにお世話になったことがありますが、それぞれに役割や得意分野があり、どれにも助けられてきました。
今でもとても感謝していますし、「行かなければよかった」とは全く思っていません。
その上で、私にとって一番響いたのは、「なぜその痛みが起きているのか」を動きから考え、その原因を修正していくという考え方でした。
私は運営スタッフなので、これまで何度もウェビナーでMSIの評価を見てきました。
でも正直に言うと、理学療法士ではない私には「見て分かる」ものではありませんでした。
患者になって初めて、
「先生方はこういうことを見ていたのか。」
と腑に落ちたのです。
でもMSIって、正直すごく地味です…
SNSでよく見るような、
「これだけで一発改善!」
「たった30秒!」
「劇的ビフォーアフター!」
そんな派手さは全然ありません。
エクササイズも、急性期だったからかもしれませんが、私がイメージしていたような筋トレとは違いました。
それでも、一番うれしかったのは、自分専用の動きの修正メニューを教えていただけたことです。
SNSでは誰にでも同じようなストレッチが紹介されています。
でもMSIでは、私の動きを評価した上で、
「今のあなたにはこれ。」
という方法を考えてくださいました。
「ちゃんと私の身体を見てくれている。」
そんなふうに感じられたことが、何よりうれしかったです。
もちろん最初は、
「本当にこれで変わるの?」
と思っていました。
実際、回復も一直線ではありませんでした。
たくさん歩いた日は調子が悪くなる。
長時間運転した日はまた痛みが強くなる。
良くなったり、少し戻ったりを繰り返しながら、少しずつ回復しています。
そして、私が良くなっていった理由を「MSIだけのおかげ」と言い切るつもりもありません。
もしかするとブロック注射や痛み止めの効果だったのかもしれません。
整形外科で受けた牽引療法の効果が、後から現れてきたのかもしれません。
実際のところ、それぞれがどれだけ影響したのかは私には分かりません。
でも、私の中で確実に変わったことが2つあります。
それはまず、
「その場で気持ちいいこと」と「治っていくこと」は、必ずしも同じではないということが分かったこと。
もう一つは、
「治してもらう」という考え方から、「自分の動きを修正することで、自分で痛みや身体をコントロールしていく」という考え方に変わったことです。
痛みが落ち着いたあとも再発しないように、自分の身体の使い方を意識する。
この二つの考え方は、私にとって大きな財産になりました。
そしてこの経験は、慢性的に痛みを繰り返している人や、スポーツで何度も怪我をしてしまう人にも役立つ考え方なのではないかと思いました。
実際、私が周りの知り合いに「ヘルニアから坐骨神経痛になった」と話すと、
「私もヘルニア持ち。」
「寒くなると坐骨神経痛が出る。」
「私はこうやってしのいでる。」
そんな話を本当にたくさん聞きました。
慢性の腰痛や坐骨神経痛に悩んでいる人は、思っていた以上に多いのだと驚きました。
日本では保険制度や診療時間の制約もあり、一人ひとりに十分な時間をかけて評価することは簡単ではないのかもしれません。
それでも、一人ひとりで異なる動きの癖を評価し、その意味を患者自身が理解できるように伝えていくことには、大きな価値があるのだと感じています。
患者自身が自分の身体を理解し、自分でコントロールできるようになる。
私は、それがMSIの大切な考え方なのではないかと思いました。
この話を諸谷先生にすると、
「そうなのよ。MSIって本当に地味なんだよね。」
と笑われました。
そして、
「でも、本物は生き残ると思ってる。」
とも言われました。
その言葉が、今なら少し分かる気がします。
約60年前、サーマン先生の「なぜ?」という問いから始まったMSIの理論は、多くの研究者や臨床家によって議論と検証を重ねながら、今日まで受け継がれてきました。
一見シンプルに見えるエクササイズや動作の裏には、私には想像もつかないほど多くの知識と臨床経験が積み重なっているのだと思います。
その探究は今も続いており、諸谷先生も先日、運動病理学(Kinesiopathology)に関する論文を発表されています。(ご興味がある方はこちらからお読みください)
Kinesiopathology, a Framework for Progressive Nature of Neuromusculoskeletal Dysfunctions: Implications for Physical Therapy
流行だから広まったのではなく、積み重ねられてきたからこそ今も受け継がれている。
患者になった今、その意味を少しだけ理解できた気がしています。
私もまだ勉強中ですが、スタッフとしてだけでなく、一人の患者としても、これからもっとMSIを学んでいきたいと思っています。
長いシリーズでしたが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
シリーズの流れはこちらから
① 発端
② 1回目の評価(Zoom)からの悪化
③ 整形外科受診「完治は難しい」と言われた
④ ペインクリニックでブロック注射を打たれる
⑤MSIの評価を受ける
⑥評価だけでなぜ痛みが変わったのか。先生が見ていた『動きのエラー』
✅⑦ 最後に。地味だけど、本物だと思えた理由
あとがき
次は10月のMSS Kyoto 2026のセミナーで、元気な姿をお見せできたらと思っています。
(先日の京都会場で、昼休みにスタッフが評価を受けているのを見かけた方。それが私です。)
そしてNexus Motionにはもう一人アシスタントがいるのですが、実は偶然にも時を同じくして、彼女も腰痛になりました。
(諸谷先生が「なぜ私のアシスタントたちは腰痛になるんだ…」と嘆いていました(笑))
※普段は二人とも、とても健康優良児です!
違ったのは、彼女は諸谷先生のアドバイスを忠実に実践したこと。
結果は……
私より良くなるペースが、ずっと早かったです(笑)。
私も最初から素直に聞いていれば、もう少し早く楽になっていたのかもしれません。
ダイコン(Nexus Motion アシスタント)
Nexus Motion の運営およびコンテンツ制作をサポートし、諸谷先生や専門家の思考・発信を間近で支えているアシスタント。過去のまとめ記事はこちらから →Blog Index